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文庫版 オペラ座の怪人(角川書店)

ここんとこ毎日頭の中が、オペラ座の奈落の底をうろうろ状態。
ちゃーんちゃらちゃらちゃーんと、オルガンが響きます。

来年から始まる劇団四季の公演がみたくて、友達に10人くらいにメールを書きましたが、ほとんどが"興味はあるけど、高い”、”あまり関心なし”って感じ。12000円近くも出して見たいなんて人は私の周りにはいないようで、こうなったら一人でも見に行こうかと思ってます。

ここ3日ほど通勤中に読んでいた文庫版を読み終わりましたので報告いたします。
もしかしてネタバレする部分もあるかもしれないので、知りたくない人は読まないでね。

私が読んだのは、角川文庫、オペラ座の怪人です。文庫には早川版と、創元推理版と3種類ありますが、比べて角川版にしました。
ハヤカワや創元のほうが角川よりレベルというか、格が上というイメージがあり、前者にしたかったのですが、角川を選びました。理由は読みやすさです。

10年程前に読んだ時は、非常に読みにくい、翻訳調の文章だったという印象があります。多分ハヤカワか創元だと思います。今回の角川は、とても自然な日本語で読みやすいです。
すっと入っていけますし、違和感がありません。一番いいのは、原作でしょうが、英語ならまだしも、フランス語では手も足も出ません。どのぐらい意訳されているのかがわからないの残念です。

ALW版ミュージカルの方とのストーリー比較ですが、基本的には流れは同じです。
結末の部分がちがいますし、謎のペルシャ人が原作では重要な鍵を握っています。
しかし、ガストンルルーという人はすごい。オペラ座という舞台から、あれだけのものを作り出すなんて!怪奇ロマンとかかれていましたが、映像がなくとも、十分イメージは伝わります。”黄色い部屋の謎”も読み直さなければと思います。

引き込まれて、飽きることがありませんでした。
最後のファントムとの対決シーンでは、思わず涙がぽろぽろでて恥かしかったです。
ファントムが異形であるがゆえに、母親からも嫌われ、いじめられ、見世物にされあちらこちらを転々としたこと。しかしその代償かのように、素晴らしい頭脳と才能をもったという現実。美形であったなら、普通の顔であったなら全く違う人生もあったのであろうと思うと泣けてきます。ささやかな幸せを願ったのに…。
ファントムは悪人なのかもしれませんが、おぼっちゃまのラウールがオバカに見えてきます。ついついファントムに肩入れしてしまうのは、私が女性だからなのでしょうか?

謎なのは、昔読んだ時に、ファントムを恨みがましいしつこい奴だったと思った記憶があるのです。今回は、そういうイメージはなく、逆に哀愁を帯びた悲しい悪人に思えます。
これは翻訳のせいなのか、それとも10年を経て、私自身に変化した部分があるのか?

いずれは、のちのち、別の翻訳版と読み比べてみたいと思います。
by the_big_blue | 2004-11-17 15:35 | POTO-JOJ, Gerry