映画 ”ミリオンダラーベイビー”の背景: アイリッシュとイェーツ

映画を見て、描かれる文化を知る人なら言われなくても分かる前提条件ってあるじゃないですか。名前を聞いただけで、何系の名前だとか、言葉聞けば何処の出身だとか、お店の名前聞いただけで、何を売ってて、高級なのか庶民的なのかがが分かるとか。

”ミリオンダラー・ベイビー”にでてくる イェーツは詩人で、ゲール語はヨーロッパの言葉という程度の認識しかありませんでした。いやはや、恥かしいですが、わたしの知識は水溜りのように浅い。ちゃんと知っていれば、映画をもう少し良く理解できただろう。英文科に入ってまじめに英文学を学びたいと思う今日この頃。

話は飛びますが、”千と千尋の神隠し”が海外で公開されたとき、果たして外国の人に”油屋”のあの古い温泉旅館のあやしい雰囲気とか、温泉でくつろぐという感覚、八百万の神様の概念ってわかるのかなぁと疑問だったのですが、結構評判も良かったようですね。同じ人間同士ですから、文化は違っても気持ちは共通なのかな?でもね、前提条件を知らなくても映画は楽しめますけど、あればもっと面白い。

昨日の日経の夕刊 ”シネマ万華鏡”に ”ミリオンダラー・ベイビー” に関するおもしろい記事がありましたので紹介させていたきます(>の部分が記事からの内容です)。ご覧になった方、これからご覧になる方も、知っておいて損は無いです。

>主人公のフランキー・ダンはアイルランド系アメリカ人。
>ボクサーのマギー・フィッツジラルドもアイルランド系。
(苗字や名前を聞いても何系とかよく分からないですよね。マックがつくのはアイリッシュだと聞いたことはありますが。2人の名前を聞いてぱっとアイルランド系だと想像がつく人は、理解が深まりますよね)

>フランキーが愛読するイェーツはアイルランドの詩人。フランキーは彼は独学でゲール語を勉強して、イェーツの詩を読んでいた。
(イェーツはイギリス人だと思ってました。そしてゲール語がアイルランドの古語だというのもしらんかった。フランキーはアイルランド系だったから、イェーツを原書で読もうとしてたんだ!でも、なんで映画の中でバグパイプ吹く人たちが出てきたのだけど、あれってスコットランドだけじゃなくて、アイルランドにもあるんですね。知らなかった(゚o゚))

>映画の中でフランキーが読みあげたのは、イェーツの”イニスフリー湖島”という有名な詩
>この詩はマギーとフランキー自身のための祈りの言葉のようだとコメントされています。
(まさにそのとおりです。この詩のことを知って映画をみたら、さらに心が切なくなることでしょう。記事に邦訳がのっていたので、原文(英語)を調べましたので、一緒に載せておきます。全詩はもう少し長いようです。)

”イニスフリー湖島”

>ああ、あすにでも行こう、あの島へ
>そしてあそこに小屋を立てよう
>壁は泥土、屋根は茅葺でいい
>豆の畑は畝を九つ
>その蜂たちの巣はひとつ
>その蜂たちの羽音のなかで独り暮らそう
>ああ、あそこなら、いつかは心も安らぐだろう
>安らぎはきっと、ゆっくりくるだろう(加島祥造訳)

”The Lake Isle of Innistree"

I will arise and go now, and go to Innisfree
And a small cabin build there, of clay and wattles made;
Nine bean-rows will I have there, a hive for the honey-bee,
And live alone in the bee-loud glade.
And I shall have same peace there, for peace come dropping slow

もともと、日本語でも詩が苦手なのです。好きな詩もありますが、なにを言いたいのか、何処が良いのか、よくわからないんです。でも、最近、英文学にいろいろと触れるチャンスが多く、だんだんと詩のよさもが分かってきて、興味を持ち出したところです。この詩は、大都会ロンドンに住むイェーツが故郷を懐かしく想い歌った詩だそうです。それを知って読むのと読まないのとでは、詩から感じる思いが変わります。
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by the_big_blue | 2005-06-14 17:27 | Entertainment