これぞ傑作映画: ”薔薇の名前”
2005年 10月 11日
先日、ネットで買った”薔薇の名前”をやっと見ることができました。これは、特別版のDVDで、ちょっと前まで3000円ちょいで売られていたものが1500円で販売されています。
”薔薇の名前”は今から19年ほど前の映画(そんなに月日がたっていたのかとびっくり)です。
これは私のベストムービーのベスト5に入る作品です。思えば、この映画を見たときから
ショーン・コネリーが大好きでした。あの!クリスチャン・スレーター(当時15歳)のデビュー作
でもあります。原作は、こちらもベストセラーとなった、イタリアの記号学者 ウンベルト・エーコの同名の作品。もちろん翻訳版(上下)も買いましたが、はっきり言って非常に難解です。監督いわく、買った人のほとんどは読んでいないで、理解したつもりになっているとか。非常に納得のコメント(笑)。監督は、”セブンイヤーズ・イン・チベット”のジャン・ジャック・アノー。この作品で、ショーンコネリーは英国アカデミー賞主演男優賞を受賞しています。
この映画は数回見ていますが、何度見ても、この映画の持つその独特の雰囲気に驚嘆します。うれしくて、わくわくしちゃう。中世の北イタリアの僧院を舞台にくりひろげられるミステリー。フランチェスコ会のウイリアム修道士(ショーン・コネリー)とその弟子アドソ(クリスチャン・スレーター)、シャーロックホームズ(小説:修道士カドフェルの雰囲気にちょっと似ているかも。)謎を解いてきます。
映像全体が、暗くて、怪しく、謎めいています。ちょっと、犬神家が入ってなくもないですが、こういう雰囲気が大好き!(恐怖映画は嫌いだけど、一部”オペラ座の怪人”の隠れ家に通じるものはある)出てくる人たちにはまともな形相の人がいません。みんな、なんかしら怪しい。そこに悪魔の仕業と思われる連続殺人が起きます。悪魔はいるのか、閉じられた塔、禁じられた本、ガーゴイル、地下墓地、迷路、せむしの男、すべてが怪しい、妖しい。
最初に一度見ただけだったら、単なるグロテスクな中世ミステリーの印象が強いかもしれません。たしかに、すごい凄惨なシーンも出てきます。しかし、表面的な話だけにとらわれてはなりません。その中にはいろんなエッセンスが含まれているのです。閉鎖的な僧院社会の中で繰り広げられるさまざまな人間模様、裕福と貧困、神の愛と女性への愛とは、正統と異端、神と悪魔、探求と保存。それぞれの役者が、独特の香りをかもし出し、それが混ざり合って独特の雰囲気をさらに強めていきます。
特筆すべきはやっぱり、ショーン・コネリーでしょう。まさに適役でしょう。本当は、ジョン・ヒューストンが演じるはずだったそうですが、寒いロケでは撮影が健康上難しいということで、ショーン・コネリーがやることになったそうです。映画のなかで、みんあの吐く息が白いのが分かります。彼の愛嬌のある表情の中に、ふっと見せる厳しい表情。知性と知識欲と正義に立ち向かう人間を演じきっています。ほかに出てくる”異形”の俳優さんたちは、監督がヨーロッパじゅうから集めたそうです。てっきりベテランだと思っていた人が、ほとんど無名の人だとしって、これまたびっくり。あの難解で不可解な原作を映像化するというだけでもすごいことなのに、その映画を2時間ちょっとでまとめ上げています。多分、今どきの映画なら3-4時間にしてしまうと思いますが、最近の傾向として、必要があって3時間というわけでなく、まとめきれずに長くなってしまったという映画が多いような気がします。そのなかで、この映画は、長ければいいというものではないと
いうことを実証しています。
そして、映画ととともに特別版についている、特典映像を見ていたきたい。それほど期待していなかったのですが、大当たり!これが映画と同じぐらい面白いのです。そして映画をもう一度見てほしい。ただの、gross な映画ではないといことがはっきり分かると思います。特典はトータルで3時間近くあるのですが、トレイラー、監督のコメント、ウンベルト・エーコと映画の特別番組(ドイツ版)がついており、かなり見ごたえがあります。これを見ている間、多分、私は”へぇ~~”を100回ぐらい言ってたと思います。調度品は全て(つぼや彫刻や建物や本や小道具も)当時そのままに作ったとか(今は、博物館にレプリカとして保管されているものが多いそうです)、すべて特写なしでとったとか、プロデューサーが資金を調達するのに、自社ビルを売ったとか、どこのロケーションを使ったとか。
面白かったのは、キャスティングのこと。最初は主役は別の人だったのですが、たまたま何度も連絡してくるショーン・コネリーのエージェントにほだされて、テストしたら出来が素晴らしく彼に決めたそうです。そのとき、映画会社が軒並み反対したそうです。知らなかったのですが、当時のショーン・コネリーは007のあと、どん底状態にいて、みんな使いたがらなかったとか。ほかにも、クリスチャンのラブシーンについてのコメント(これは見てのお楽しみ)とか、4年以上もの時間と莫大は経費をかけて作った映画が、最初アメリカではメタクソに言われたとか、もうもう、情報満載、映画がさらに楽しめる情報だらけなんです。
5点満点で★★★★★!(満点)
この映画が1500円ですよ。アマゾンの回しもんじゃないですが、これはすごいコストパフォーマンスです。映画自体は賛否両論分かれるかも知れません。でも、私はそれでも強くこの映画をいろんな人に見てもらいたいと思ってお勧めしたいと思ってます。特に、この映画のショーン・コネリーは今までみた彼の映画のなかで一番素晴らしいと思います。どん底から這い上がった彼、リハーサルのときにタータンチェックのマフラーを巻いている彼。この映画にキャスティングされて、彼も人生が変わったのではないかと想像をめぐらしてしまいました。
”薔薇の名前”は今から19年ほど前の映画(そんなに月日がたっていたのかとびっくり)です。
これは私のベストムービーのベスト5に入る作品です。思えば、この映画を見たときから
ショーン・コネリーが大好きでした。あの!クリスチャン・スレーター(当時15歳)のデビュー作
でもあります。原作は、こちらもベストセラーとなった、イタリアの記号学者 ウンベルト・エーコの同名の作品。もちろん翻訳版(上下)も買いましたが、はっきり言って非常に難解です。監督いわく、買った人のほとんどは読んでいないで、理解したつもりになっているとか。非常に納得のコメント(笑)。監督は、”セブンイヤーズ・イン・チベット”のジャン・ジャック・アノー。この作品で、ショーンコネリーは英国アカデミー賞主演男優賞を受賞しています。
この映画は数回見ていますが、何度見ても、この映画の持つその独特の雰囲気に驚嘆します。うれしくて、わくわくしちゃう。中世の北イタリアの僧院を舞台にくりひろげられるミステリー。フランチェスコ会のウイリアム修道士(ショーン・コネリー)とその弟子アドソ(クリスチャン・スレーター)、シャーロックホームズ(小説:修道士カドフェルの雰囲気にちょっと似ているかも。)謎を解いてきます。
映像全体が、暗くて、怪しく、謎めいています。ちょっと、犬神家が入ってなくもないですが、こういう雰囲気が大好き!(恐怖映画は嫌いだけど、一部”オペラ座の怪人”の隠れ家に通じるものはある)出てくる人たちにはまともな形相の人がいません。みんな、なんかしら怪しい。そこに悪魔の仕業と思われる連続殺人が起きます。悪魔はいるのか、閉じられた塔、禁じられた本、ガーゴイル、地下墓地、迷路、せむしの男、すべてが怪しい、妖しい。
最初に一度見ただけだったら、単なるグロテスクな中世ミステリーの印象が強いかもしれません。たしかに、すごい凄惨なシーンも出てきます。しかし、表面的な話だけにとらわれてはなりません。その中にはいろんなエッセンスが含まれているのです。閉鎖的な僧院社会の中で繰り広げられるさまざまな人間模様、裕福と貧困、神の愛と女性への愛とは、正統と異端、神と悪魔、探求と保存。それぞれの役者が、独特の香りをかもし出し、それが混ざり合って独特の雰囲気をさらに強めていきます。
特筆すべきはやっぱり、ショーン・コネリーでしょう。まさに適役でしょう。本当は、ジョン・ヒューストンが演じるはずだったそうですが、寒いロケでは撮影が健康上難しいということで、ショーン・コネリーがやることになったそうです。映画のなかで、みんあの吐く息が白いのが分かります。彼の愛嬌のある表情の中に、ふっと見せる厳しい表情。知性と知識欲と正義に立ち向かう人間を演じきっています。ほかに出てくる”異形”の俳優さんたちは、監督がヨーロッパじゅうから集めたそうです。てっきりベテランだと思っていた人が、ほとんど無名の人だとしって、これまたびっくり。あの難解で不可解な原作を映像化するというだけでもすごいことなのに、その映画を2時間ちょっとでまとめ上げています。多分、今どきの映画なら3-4時間にしてしまうと思いますが、最近の傾向として、必要があって3時間というわけでなく、まとめきれずに長くなってしまったという映画が多いような気がします。そのなかで、この映画は、長ければいいというものではないと
いうことを実証しています。
そして、映画ととともに特別版についている、特典映像を見ていたきたい。それほど期待していなかったのですが、大当たり!これが映画と同じぐらい面白いのです。そして映画をもう一度見てほしい。ただの、gross な映画ではないといことがはっきり分かると思います。特典はトータルで3時間近くあるのですが、トレイラー、監督のコメント、ウンベルト・エーコと映画の特別番組(ドイツ版)がついており、かなり見ごたえがあります。これを見ている間、多分、私は”へぇ~~”を100回ぐらい言ってたと思います。調度品は全て(つぼや彫刻や建物や本や小道具も)当時そのままに作ったとか(今は、博物館にレプリカとして保管されているものが多いそうです)、すべて特写なしでとったとか、プロデューサーが資金を調達するのに、自社ビルを売ったとか、どこのロケーションを使ったとか。
面白かったのは、キャスティングのこと。最初は主役は別の人だったのですが、たまたま何度も連絡してくるショーン・コネリーのエージェントにほだされて、テストしたら出来が素晴らしく彼に決めたそうです。そのとき、映画会社が軒並み反対したそうです。知らなかったのですが、当時のショーン・コネリーは007のあと、どん底状態にいて、みんな使いたがらなかったとか。ほかにも、クリスチャンのラブシーンについてのコメント(これは見てのお楽しみ)とか、4年以上もの時間と莫大は経費をかけて作った映画が、最初アメリカではメタクソに言われたとか、もうもう、情報満載、映画がさらに楽しめる情報だらけなんです。
5点満点で★★★★★!(満点)
この映画が1500円ですよ。アマゾンの回しもんじゃないですが、これはすごいコストパフォーマンスです。映画自体は賛否両論分かれるかも知れません。でも、私はそれでも強くこの映画をいろんな人に見てもらいたいと思ってお勧めしたいと思ってます。特に、この映画のショーン・コネリーは今までみた彼の映画のなかで一番素晴らしいと思います。どん底から這い上がった彼、リハーサルのときにタータンチェックのマフラーを巻いている彼。この映画にキャスティングされて、彼も人生が変わったのではないかと想像をめぐらしてしまいました。
by the_big_blue
| 2005-10-11 15:38
| Entertainment