読書: 魔法使いハウルと火の悪魔

映画 ”ハウルの動く城” を見たのが、去年の12月の初め。DVDがそろそろ出ますが、最近のほかの映画の作品が公開後数ヶ月で出ることを考えると、かなりゆっくりですね。


b0021101_13504432.jpg”ハウルと動く城”は、決して悪い作品ではなく、高いレベルにある映画だとは思います。が、宮崎作品としてはユニークさが感じられず外したな~という印象がありました。妙に明るい外国の雰囲気にもかなり違和感があった。キャラクターは、主役よりも脇役の火の悪魔ルシファーとマイケルのが好きだった。海外でもそれほど評判は良くなかったみたいですな。外国人受けを狙って、欲をだしたのかな、原作に海外の作品を選んだりして。もともと宮崎作品に特に思い入れの無い私は皮肉屋さん?ちなみに私は”千と千尋の神隠し”が好きです。

b0021101_13511543.jpgしかし、原作は面白いと聞いたので読んでみることにしました。その前に、トライした原書は私のレベルでは理解力、想像力ともに及ばず。妙にハデハデのハウルと、意地悪ばあさんみたいな怖い顔のソフィーの挿絵が印象的でした。同じものなのに、日本語版は、すいすい読みやすい。あっという間に読み終わりました。全く同じではないですが、基本の設定は大体同じ。映画を先にみちゃったので、どうしても映画のイメージが付きまとって仕方がなかったです。

映画は、ハウルとルシファーの契約というのがさっぱり分からないまま、うやむやに終わってしまった。よく分からなかったという映画の感想を持つ人が多いと思います。原作を読むとわかりますよ。また、単なるガキっぽいナルシストにしか見えなかったハウルに、もう少し愛着が湧きます。また、辛気臭くて嫌だった倍賞さんのソフィーは原作だともっと共感できました。”長女は、何かいつも損してる気がしていて、抜け出したいといつも思っているのに責任感が強くて逃れられない”。このソフィーの境遇が物語を通じて底にある重要な設定なのですが、映画だとちょっとわかりにくかった。

作者のダイアナは、あの”指輪物語”のトルーキンの授業を大学で受けたことがある人だそうで、原作の中には、いろんな文学作品のエッセンスが織り込まれているということでした。(シェークスピア、イギリスの詩、指輪物語など)翻訳版は訳注で書いてあるので分かります。この作品には、単なるファンタジーばかりではなく、メッセージも含んだ作品だというのも、もう一つの読みどころです。翻訳者さんが書かれていた事の受け売りですが、当時は、女性を主役にした作品はあまり受けないという時代だったため、著者も男性が主役の作品を書いていたそうです。しかし、じきフェミニズム運動が広がるようになり、女性を主役にして書いたということ、そして我慢して家にとどまって家事をするというのが女性いう古い考えに縛られるソフィーが出会いを通じて、新たな女性像をつかんでいく、そういう女性の成長を描いているというのもこの話にこめられたメッセージだそうです。そう思って読むと、なかなか面白いですね。
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by the_big_blue | 2005-10-20 13:47 | Entertainment