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角川文庫 新訳 ヴェニスの商人

角川文庫 新訳 ヴェニスの商人_b0021101_8581883.jpg映画を見られないのならば、せめて本でも、と”新訳 ヴェニスの商人”を借りてきました。映画のでるのにあわせてだされたのでしょうか、10月に出たばかりの本です。

シェークスピアって、子供用に簡単なお話に書き下ろしたのは読んだことがあるけれど、脚本になっているのはどうも苦手で、最後まで読んだためしがなかったのでした。というわけで、ヴェニスの商人もなんとなくあらすじだけは知っているという感じ。

この本は、薄いので(150ページぐらい)なんで、気軽に読めました。現代語で書いてあるので、読みやすいですよ。昔からある文庫は、文体が古くて、必ず途中で飽きてしまってた。翻訳者は45歳東大の助教授さんだそうです。若いのにすごいなぁ。新しい人が新しい感覚で訳してもらうと、文学作品はとっつきやすくなるのかもしれない。ただ、高慢と偏見しかし、オペラ座の怪人叱り、新しい感覚で訳せばよいというわけでもないけどね。(格調低くなったりしてね)。注釈がたくさんついているので、面白い。その道のプロとはいえ、物知りなんだなぁ。これが、出典が聖書だとか、この言葉遊びだとか、そんなの分かりながら英語で読めたらそりゃ楽しいでしょうな。そんなことはとても無理でしょうけど。あとがきもシェークスピア初心者にはなかなかためになることが書いてある。

翻訳者も書いているが、時代や演出家によって、誰をメインに置いて演じるかということは、いろいろ変遷があったようです。貿易商のアントーニオなのか、それともユダヤ人のシャイロックか?それによって、まったく違った物語に見えてきますよね。

映画は誰をメインに書いてあるのかな?
ただ、この本を読む限りでは、理不尽さというか、不公平感を感じずにはいられませんでしたね。もう、映画”ベンハー”で感じた気持ちと少し似ています。世界的な名作を私が良いとか、悪いとかどうのこうのいうレベルの作品では語っても仕方ないのかもしれないけど、個人的な気持ちを書かせてもらうと、なんか納得いかない話だわ。

キリスト教が1番えらくて、異教はダメ!悪いのはシャイロックをさげすみ、借金を返し損ねたアントーニオだとおもうのだけど、なぜか話はこいつに有利に展開していく。最後に、裁判によってシャイロックが負けて、”やったぜ、いい気味だ”、”この若い博士はなんとすばらしいのか”と思う人がたくさんいるのか?または、当時は、いたのであろうか? 世の中なんてそもそも不公平なもんさ、というのを描きたかったのか?

しかし、イタリア人でもなく、クリスチャンでもない私は、ベンハーを見たときのような、いまいち納得いかない感がぬぐえないのでした。"水戸黄門”、"桃太郎侍”、”遠山の金さん”、みたいなのが好きな私にはストーリー的には×。でも、こういう風潮が当時あったのでしょうね。そういう風にしてみれば、これはこれでよいのだろう。

映画、みにいけるかな。
by the_big_blue | 2005-12-08 09:11 | Entertainment